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第32章 かわいいひと〜離れていても〜



玄関の中、俺が荷物を置いて先生が靴を脱いで。

二人して上体を起こして向き合うと自然と抱き合い、少しの間そのままそこにいた。

あー、先生だ。

体の感触や匂いに浸ってると先生が、クスクスと笑いだす。

「なに?」

「お前…これで来たの?」

「は?」

先生の目線を追うと玄関にあるサンダルが目に飛び込んできた。

「やば。」

「お前、お母さんに変に思われてないか?」

ふむ。

ヤバいような、そうでもないような。

「母ちゃん…気づいてるかな…」

でもやっぱりおかしくなってきて、

「あははっ!」

もう笑い飛ばしてしまえ。

先生も、

「ま、いっか?
あはは!」

って。

先生が笑ってる。

それだけで嬉しくなったから、先生をふんわりと抱きしめ直してから触れるだけのキスをした。

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