テキストサイズ

異彩ノ雫

第40章  十ノ月 ⑤




大瀧の轟く水音が背筋を走り
胸がざわめく

錦繍と
立ち込める朝霧の如き飛沫の中
恍惚とおののきに包まれれば
現世をしばし忘れる

かすかに架かるこの虹は
何処へいざなう梯か…

水面に朱のひと葉舞い落ちて
ただ
ゆく風に心を放つばかり







【清冽】


ストーリーメニュー

TOPTOPへ