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異彩ノ雫

第45章 十一ノ月 ③




梢がざわめき
雲が切れ切れに流れ去る

落ち着かなげに
装いめかした夜が帳を下ろし
数多の命が目をこらす

午後五時の静寂…

やがて
物憂げにとろりと浮かび来る
今宵の月

高まるほどに青白く
玲瓏たる輝きに満ちてゆく

魅入られて
届かぬながら伸ばす指先へ
真珠の輝きがほのかにともる







【月の鏡】


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