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異彩ノ雫

第45章 十一ノ月 ③




エスプレッソの薫りの向こう
窓ガラス越しに深紅の傘が色を増す

降りしきる秋の雨…

後を追うように
走り来るブルーの傘

立ち止まるふたつの傘は
さながら二輪の花に似て
黄昏せまる街を彩る

やがて
眠るように閉じられた深紅の花…
残る傘に想い寄り添い
華やぎながら過ぎてゆく

雲間から 光ひとすじ差しかかる







【秋雨】


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