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異彩ノ雫

第77章  三ノ月 ②




忍び寄る時間に
気付かぬふりもこれまでと
君の瞳を覗きこめば
あと一粒で零れるほどに
湛えた想い

この日のために
出会ったわけではない
出会いの先に
この日があっただけのこと…

最終を告げるベルの音

約束を出来ないままの
明日を振りほどくように
君は改札を駆け抜けた

─ いつか、なんて日は来ないのよ

佇む夜の静寂に
ふたりの時間がとけてゆく







【卒業】


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