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異彩ノ雫

第88章  四ノ月 ③




吹き込む風が

窓辺に置いた菫をそよがせる



手元には描きかけのスケッチ



色をのせれば命が宿るページには

いつの間にか君の横顔…



指でなぞる髪の流れに

あの日絡めた

柔らかなひとすじが甦る



吹き込む風は

静かに胸を揺すり続ける







【風】


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