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異彩ノ雫

第92章  四ノ月 ⑤




夢に夢を重ねた日々

すべてが
希望という言葉で包まれていた

古いアパルトマンの
小さな部屋も
夢の隠れ家のように
光に満ちていた


いくつもの季節を過ごし
いつからか
叶わないからこそ夢、と
伏し目がちになったあなた

そのまま 冷たい潮騒が
ふたりの時間をさらってしまうなんて…


今はただ
埠頭にひとり佇み
波の声を聴くばかり

いつまでも いつまでも…







【ひとり】


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