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異彩ノ雫

第187章  三ノ月 Ⅱ ③




── ねえ、踊りましょうよ
桜が咲いてしまう前に…


ふいに僕の手をとり
ステップを踏む君は
ほんのり色づき始めた
並木を縫うように
僕をいざなう

なまめく風を纏いながら
口ずさむ
さくらんぼの実る頃…


月はなく 星も見えない
けれど
幸せな春のひと夜に、口づける







【春宵】


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