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異彩ノ雫

第207章  五ノ月 Ⅱ ④




言葉の海に漕ぎだす夜は
深く 濃く
船べりを打つ波も荒い

暗色が四方から寄せる中
水面をはらう手の虚しさ…

けれど
私は、知っている

水底深く 光を放つひとつの言葉
掬い上げたそのひと雫に
長い夜が明けゆくことを







【夜船】



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