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異彩ノ雫

第208章  恋文 (十八)

愛するあなた

こうしている今でさえ
あなたのもとを
去らなければならないことが信じられません

本当に
ともに生きる道はなかったのか…
考え尽くしたはずの問いを
また自分へ投げてしまうのです

忘れることのできない
あの日は
どこへいってしまうのでしょうか

何故
私たちは出会ったのでしょう…


…ああ
もうやめましょうね
書いては破りを昨夜から繰り返した
最後の一枚には
相応しい言葉があるはずですから



最終の搭乗案内が流れました…



あなたへ残す言葉は
やはり
この一言しか思い付きません





愛しています







(了)



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