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異彩ノ雫

第21章  八ノ月 ⑤




ゆく夏を惜しみ

藍の浴衣に塗り下駄の君



風上に背を向けて

名残の線香花火に火をつければ

薄青く煙が流れる



指先で弾ぜるあえかな華

素足の白さが夜に眩しい



時をこのまま止めたくて…



けれど 華はほろりと零れ落ち

夏が静かに終わりを告げる







【晩夏】


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