
異彩ノ雫
第217章 恋文 (二十)
嘘つきなあなた…!
子どもの頃
あなたに驚かされて
落としてしまったソフトクリーム
今度おごるよって言ったのに…
今年は
浴衣を拵えて花火を見に行くはずだった
世界地図を広げながら
真夏のクリスマスもいいね、なんて…
ねえ、あなた
私もっと我儘になればよかった
あの約束はどうしたのって
言えばよかった
このまま
時の狭間に埋もれてしまう約束を
見ているしかないなんて…
空の上で笑っているの、あなた
大好きな
あなた…
もう一度
もう一度だけ
逢いたいわ…!
(了)
