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異彩ノ雫

第219章  七ノ月 Ⅲ




文月の始めにみる夢は
あなたにあてて書く手紙


伽羅の香りの御簾のうち
和紙の巻き紙に薄墨で
文 参らせ候う、と…

続く言葉は手にあまり
筆先よりのひと雫
涙の如く文の上


滲む墨色に夢は閉じ
目覚めの胸は なおさらに
焦がれる想いに満たされる







【薄墨】


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