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異彩ノ雫

第218章  六ノ月 Ⅲ ⑤




戯れに……



諭し願った人のまなざしに映るものは

花ばかりだったろうか…



たとえば

去り際の 気まぐれな言葉に

心拐われ佇む少女…


その洩れるため息は

色増す紫陽花の傍らにあって

恋慕に、重く

待ち続ける日々はあてどない



…戯れに

花を 手折るなかれ







【花盗人】


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