テキストサイズ

異彩ノ雫

第242章  恋文 (二十八)




お嬢さま…


最後のひと針を縫い終わりました

このドレスをお召しになったお姿を
私は見ることはありません
明日の便で発ちますので…

どうぞお幸せになってください



……いえ
あなたに告げたい言葉は
もっと別にあるのです
初めてお会いしたあの日から
胸に秘めてきた想い…

どうか今だけ
今だから
一度だけ言葉にすることをお許しください




あなたを
お慕いしていました…



どうか幸せな人生でありますように


幼い日の想い出とともに







(了)


ストーリーメニュー

TOPTOPへ