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異彩ノ雫

第26章  九ノ月 ③




グラスの縁を指先で弾けば
消えない余韻が
雨音と溶け合い闇に流れる

窓の向こうに白い影…
屋根をわたる急ぎ足に
長い尾がゆらりと動く

ふと振り返る金色の瞳は
姿を隠した今宵の月か
心射ぬかれざわめきながら
目を伏せる…

夜がまたひとつ 色を増す







【秋月(しゅうげつ)】


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