ただあなただけを見つめる
第22章 HAPPY BIRTHDAY
それから二人だけどトランプをしたり、王様ゲームとかして遊んだ。
暁なんて「キスしてる写真撮る」なんて言って…
恥ずかしいけど頑張った。
現像したら破り捨てよ(笑)
「さ、お風呂入って寝ようか。」
「うん。今日はぐっすり眠れそうだよ。」
「まだ寝るなよ?
ケーキよりも甘い夏帆を食べてないんだからな!」
「寒っ…」
暁の腕をバシッと叩き、お風呂に入った。
お風呂から上がると、暁が「夏帆ー」と呼ぶ。
「なに?」
「プレゼント渡すの忘れた!」
「え?」
暁がパッと差し出したそれは
―――――向日葵の花束。
季節外れの向日葵が何でここに?
「これどうしたの…?」
「売ってたんだよ。
季節外れだったからか結構なお値段だったけどな!」
ヘヘッと得意げに笑う暁。
「ほんとはアクセサリーが無難かな~って思ってたんだけど、それ見つけたんだ。
花束なんかクサイかなー」
「ちょっとね…(笑)
でも嬉しい。暁が私に“向日葵みたい”って言ってくれたの思い出す。」
花束を抱え、微笑む。
向日葵からは何ヶ月も遠くの夏の香りがした。
「あ…私もプレゼントあるんだった。」
「え、マジ?」
「うん。」
向日葵をテーブルに置き、私の洋服タンスを開け、紙袋を出す。
いろいろあってくしゃくしゃになってしまったが、せっかく暁のために買ったんだからプレゼントしたい。
「はい、これ……」
「…おう。開けていい?」
「いいよ。でもあんまり期待しないでよね。」
そう言う私を無視して暁はガサガサと紙袋を開けた。
「あ、マフラー!」
「暁…バイト行く前寒そうにしてたでしょ?」
「やばい、めっちゃ嬉しー…」
暁はマフラーを巻いて子供のようにはしゃぐ。
店員さんに選んでもらったことは墓場まで持って行こう(笑)