ただあなただけを見つめる
第22章 HAPPY BIRTHDAY
「え…夏帆泣いてるの?」
「泣いて……な……い…//」
「泣いていいよ…。」
暁のその言葉に私の涙腺は崩壊。
人間は感動してこんなに泣けるものなんだね。
「写真撮ろうと思ったのに、その顔じゃ撮れないな。」
「メイクやり直す…」
洗面所でメイクを落とし、暁に急かされ再びメイクをする。
「早くしないと生クリームとけるよ!」
生クリームって溶けるのか…
「目腫れてない?」
「夏帆は目腫れててもかわいいから大丈夫!!」
暁はニカッと笑うと、インスタントカメラを持った。
てかやっぱり腫れてるのね。
写真見るの怖いけど、まぁいっか…。
「撮るぞ!」
タイマーにセットし、カメラの前で笑顔を作る。
―――パシャ
「なぁ、まだまだ容量あるから今日は写真いっぱい撮ろ!」
「なによ?暁、写真とか苦手じゃなかった?」
以前暁と写メを撮ろうと思って断られたことが多々あった。
そんな暁が写真撮りたいなんて珍しい。
「いーの!
最後かもしれないだろ?」
「え?」
「…なんでもない!
さ、ケーキ食べるぞ~!」
「……?…うん。」
暁の言った“最後かもしれない”という言葉が気になったけど、まぁいっか。
暁がフォークを持ってきてくれて、二人ケーキをつつくようにして食べた。
あ、ロウソクはちゃんと消した。
一気に消したかったのに、案外消えないものだった。
でも嬉しかった。
また来年もやりたいな。