ただあなただけを見つめる
第26章 光の粒
勝手に産んでごめんなさい。
でも…暁はきっと許してくれると信じています。
暁、言ってたもんね。
―――「デキたら産んでほしい。」
私の子供が欲しいって。
――――……
「なぁ、まだ暁が好きか?」
「え、なによ急に…。」
突然の旭さんの一言にドキリとする。
「だって夏帆、何っ回プロポーズしてもダメなんだもん。」
旭さんはブーッと口を尖らせて「どうなの?」と言った。
私は左手の指輪を見ながら、迷わずこう言う。
「愛してるよ。あの人以外、もう愛せないから。」
今もかわらず。
「向日葵は?
パパに会いたい?」
向日葵の頭を撫でながら、微笑む旭さん。
向日葵は満面の笑みを浮かべて「あいたい!」と言った。
旭さんは「そっか(笑)」と意味深に笑うと、席を立つ。
「俺、ツレとパーティの予定入ってるからもう行くな。」
「はぁ?」
私は信じられないと言わんばかりに旭さんを睨む。
なぜなら、このカフェに私たちを呼び出したのは旭さんだから。