
ただあなただけを見つめる
第8章 バイト
「ここだよ。」
暁に手を引かれ、たどり着いたのは
【ADAM】という店だった。
繁華街にあり、自宅から最も近い場所に位置している。
一体何の店だろうか…
――カランカラン
暁がドアを開けると、店内は少しだけ薄暗かった。
棚を見ると、アクセサリーがたくさん並べられている。
ということは、ここはアクセサリー店か。
「おー、暁。その子か?」
店の奥からスラリと背の高い細身の男が出てきて、私を見た。
「俺の女の夏帆。
夏帆、ここの店長の旭(アサヒ)だ。ちなみに俺の実の兄貴。」
暁は自信満々にそう言うと私の肩に手を回した。
「あんたの女になった覚えないんだけど?」
「でさ、兄貴。」
……無視ね。
まぁいいや。
「クスッ“俺の女”……ね?
はじめまして。
【ADAM】の店長の旭です。
暁、また随分と可愛い子連れてきたね。
さ、座って。」
旭さんは椅子を丸椅子を二つ出してくれた。
ペこりと頭を下げて座る。
