ただあなただけを見つめる
第8章 バイト
「意外って顔してる(笑)」
「…だって、まだ私に手出さないんですよ?
“夏帆が心から俺とヤりたくなるまで我慢する”とか言って」
旭さんは目を丸くする。
「それ、本当?」
「はい。」
私が答えると、旭さんはまた笑った。
何がおかしいんだろ。
「あの…」
「あぁ、ごめん。
暁がそんなこと言うなんて…
相当マジだな。」
旭さんは「すごいな」と呟いて、またコーヒーを一口飲んだ。
「旭さんって、暁とは真逆ですね。髪も、性格も。」
「まぁね。」
髪型も落ち着いたブラウンで、服装も何だか大人っぽい。
性格も落ち着いてる。
暁は金髪だし、いつもチャラいからなぁ。
束縛はするし…。
まぁ、もう慣れたけど。
「さ!作業に戻ろっかな!
じゃあ夏帆ちゃん、あとよろしく。」
飲み終えたコーヒーカップとお皿を盆に乗せ、旭さんはまた奥に入って行った。
午後も、結局暁が迎えに来るまでにお客さんは来なかった。
バイト初日が無事終わった。