ただあなただけを見つめる
第9章 ひまわり
「とりあえずッ!
ひ、人見てるから…!」
バシバシと暁の胸板を叩く。
「あ、ごめん///」
周りの目を気にしながら暁はそっと私を解放した。
手を繋ぎながらまた歩き出す。
私はドキドキしていた。
初めて言われた愛の言葉に動揺を隠しきれない。
「あ、夏帆待ってて!」
「えっ?」
突然パッと手が離れ、暁はどこかに行ってしまった。
「何なのよ…。」
暁の勝手な行動に苛立ちを覚えながらも、言われたとおり近くの古いベンチに座り暁を待つ。
「暑い…。」
日が照り、ミンミンと蝉の声がうるさい中暁を待ち続けた。
暁、どこ行ったんだろ…
もしこのまま帰ってこなかったら…
暁のいない生活を思い浮かべてみた。
暁がいなくなれば、私はきっとまた援交して生活をするのかな…。
想像するだけで私の肌は鳥肌を立てた。
もうあの頃に戻りたくない…
しばらくして暁が戻ってくるのが見えて立ち上がる。
私はホッとした。
「夏帆っ」
「暁!どこ行ってたの!」
暁は「ごめんごめん」とはにかむと後ろに回していた手を
パッと前に突き出した。
私は目を丸くして口をつぐんだ。