ただあなただけを見つめる
第9章 ひまわり
「お待たせ。」
「遅い。早く帰るわよ。」
腰に手を立て、暁を睨む。
心なしか、暁の表情はくもっていた。
「ごめんごめん。
ピアスのデザインがイマイチ気に入らなくて手直ししてもらってたんだ。」
「ならいいけど…。」
いつもどおり手を繋いで店を出た。
――――……
「お腹すいたねぇ」
「なぁ、夏帆っ!」
繁華街を歩いていると、急にピタリと足を止める暁。
「ん?」と振り向くと、暁は頬を少しだけ赤らめているのがわかった。
一体どうしたのだろうか。
「暁?……きゃっ!」
不意に強く抱きしめられ、ドキンと心臓が跳ねる。
な…何?
「夏帆、愛してる。」
「……え」
私は言葉を詰まらせた。
てゆうか、なんて言えばいいのかわからない。
“愛してる”
初めて言われた言葉だから…。