ただあなただけを見つめる
第10章 SEX
「ん……んん…」
ちゅ…ちゅ…
部屋に響く二人の息遣い。
無我夢中にキスをしていた。
「夏帆…絶対優しくするから……抱いてもいいか?」
「…いいよ。」
ベッドに押し倒され、暁は貪るように首筋にキスを落とす。
…初めてかもしれない。
私をこんなにも慎重に扱ってくれる人は。
それから普通のセックスをした。
手首を縛られたり、叩かれたりしない、普通のセックスを。
「夏帆…ずっと一緒にいような……。」
「うん…。」
暁はにこっと安心したように微笑むと、ゆっくりと瞼を閉じた。
私の手をキュッと握り、すやすやと寝息を立てる。
「ふふ。子供みたい…」
見た目厳ついくせに、可愛い寝顔。
こんな私でも母性本能がくすぐられる。
この人なら、私の過去も全部丸めて愛してくれるかもしれない。
信じてもいいのかな。
…少しだけ不安はあった。
最初は優しく接してくれても、あとで裏切るんじゃないか…とか。
園長先生のように…。
まぁ、暁に限ってそんなのありえないよね。
バカだもん。
無防備な寝顔にチュッとキスをして、瞼を閉じた。