ただあなただけを見つめる
第2章 傷だらけ
「一人に対して大人数で攻めるなんて卑怯よ!」
「うるせぇな!このアマ!」
男の一人が壁に私を押し付ける。
私はキッと男を睨んだ。
「よく見たら可愛い顔してんじゃん?
姉ちゃん、今更後悔したって遅いからな。おい。」
男は私を押さえながら、他の男たちに合図をする。
「離しなさいよ!」
ガシッと両腕を捕まれ、路地を出る。
やばい…
連れていかれる…!
「離してよ!離して…!!」
男の腕を振りほどこうとバタバタと暴れる。
男は腕の力を強めた。
「痛っ…」
「姉ちゃん、喧嘩売ったのはそっちだから諦めろ。」
「たっぷり可愛がってやるからさ。」
男がそう言った時だ。
「……!」
どこからかパトカーのサイレンが聞こえる。
誰かが通報したのだろう。
「…チッ!おい、行くぞ!」
男たちは危険を察し、私を道にたたき付けてどこかに行ってしまった。
どうやら助かったようだ。