ただあなただけを見つめる
第13章 涙
そして11時を回った頃…
――バタン
ドアが開く音がする。
ほら、帰ってきた。
――ガチャ
ドアが開き、そちらを見ると、暁が立っていた。
「…おかえり。」
「ただいま。」
暁はバイト用のカバンを床にバサッと置くと、ベッドにゴロンと寝転がった。
「なぁ」
「なに?」
「別れよっか…」
「……。」
私は口をつぐんだ。
“別れる”……?
暁、何言ってんの…?
暁は起き上がると、
「今までありがとな。
……大好きだった。」
そう言って笑った。
“ズキン”
と心臓が痛む音がする。
なんでだろう。
悲しい気持ちになった。
「さようなら。」
暁はそれだけ言うと部屋を出て行った。
部屋には暁からプレゼントされたひまわりの花が水を欲しがるように枯れていた。