ただあなただけを見つめる
第17章 ほくほく
あれから時は経ち…
気づけばカレンダーは12月となっていた。
私は暁からお許しをもらい、駅前のパン屋さんでバイトをしている。
暁には内緒だけど、
刻々と近づくはクリスマス!
…クリスマスは自分の稼いだお金でプレゼントしたいしね?
店長さんも従業員もおじいさんや女の人ばかりだし、
若い男がいないことに暁は安心したのか、案外あっさりと許してくれた。
「ありがとうございました~」
頭には赤いバンダナ、
かわいい茶色のエプロンに身を包み、
にっこりスマイル。
笑顔は苦手だったけど、お客さんに話し掛けられると不思議と笑顔になれた。
店長さんも、店長の奥さんもすごく良くしてくれてるし…
このバイト、向いているのかも。
「夏帆ちゃん、もうすぐ5時だから上がっていいよ。」
奥さんに言われ、「はぁい」とバンダナを外す。
バイトの時間は、暁がバイト終わる5時まで。
店長の聞き分けよすぎて逆に申し訳ないよね(笑)