ただあなただけを見つめる
第17章 ほくほく
「そういえばもうすぐクリスマスだな。夏帆、何か欲しい物ある?」
「ん~、そうねえ。
バースデーケーキが欲しい。」
「え、バースデーケーキ?」
首を傾げ、不思議そうな顔をする暁。
私がケーキをリクエストしたのには理由があった。
「実はクリスマスの日ね、誕生日なの。」
そう、唯一親が私に残してくれた大切な記念日…
12月24日は私の誕生日だった。
「聞いてねー!」
「だって言ってないし。
ねえ、ケーキ買ってよ。
ふーってロウソク消すの。」
暁の腕に絡み付く。
施設では12月生まれのお誕生日会はあっても個人的に祝ってもらったことないから
実は夢だったんだよね。
「わかった。
夏帆のためにうまいケーキ探すから!」
「ありがとう♪」
キラキラと輝く町を二人手を繋いで歩く。
寒いけど、とても温かい気持ちになった。