
歌い手様に拾われました。
第3章 第1章
病院につくまでの数時間、私はずっと「手術が成功しますように。またパパとママに会えますように。」と祈っていた。
もう、祈ることしかできなかった。
「お客さん、つきましたよ。」
「ありがとうございます・・・。」
お財布からお金を出して支払いをすませると、病院の中まで全力で走った。
でも、すでに手術中のランプは消えていて・・・
「新渡戸綺乃さんですね。残念ながら、ご両親は・・・」
電話と同じ声の人が私に話しかけてきた。
言わないで。
お願い、言わないで。
「あなたが来る数分前、手術中に お亡くなりになりました。」
亡くなった その言葉がなまりのように私の心にのしかかった。
「なんで!?ねぇ、なんで!? 私を1人にしないでよ・・・。寂しいよ。 戻ってきてよ、ねぇ・・・。」
自分でも何を言っているのか、わからなくなる。
頭の中がごちゃごちゃになる。
一夜漬けでテストに挑もうとする感覚・・・。
でも今は、そんなことより何百倍も悲しかった。
