Liar Game 〜1×5〜
第8章 もうひとつの顔
〜大野side〜
5月最終の日曜日。
俺はお昼からバラエティ番組の撮影があり、局内にいた。
「大野さん、1人の時はよくしゃべるんですね。」
よく言われる。
レギュラー番組の時は話をふられないとしゃべらない。
メンバーがいるという安心感に包まれているから、一緒にいるだけで幸せな気持ちになる。
でも…ピンの仕事は別。
周りに俺を安心させてくれる人がいない。
だから、無理にでもしゃべる。
いや、しゃべらないといけない。
大野「俺だってしゃべる時あるよ。」
「あははっ、何かすごく新鮮でした。」
大野「ふふっ、何だそれ。」
「じゃあ、今日はありがとうございました!お疲れ様です!」
大野「お疲れ。」
局を出て、俺はあるお店に向うようマネージャーに指示を出した。
俺はある人と約束している。
「大野さん、もしかして…彼女と会うんですか?」
大野「いや、彼女じゃねぇよ。」
「えっそうなんですか?だってあのお店…特別な人しか連れて行かない隠れ家だって…」
大野「そうだけど…大事な話するから。」
「へぇ…」
向かってるお店は俺がジュニアの頃から通っているお店。
誕生日や彼女とのデートの時、つまり特別な日にしか行かない。
特別高級なお店じゃないけど、俺にとってすげぇ居心地のいいお店だからこそ、特別な人にしか紹介したくない。
「大野さん、着きましたよ。」
大野「おう、サンキュ。」
「じゃあ、お疲れ様でした。」
俺は車を降りて、お店の中に入る。
大野「まだ来てないか…」
席に着いて、スマホをいじりながらある人を待つ。
大野「…先に酒だけでも頼んどくか。」
ガラガラ…
「ごめん、お待たせ。」
大野「おぉ、俺もさっき着いたところ。」
俺が待っていた人は…
松潤だった。