
大切な人へ
第14章 教えて
「どうした? 何か…へん」
移動教室で4人で歩いている
井川くんが少し不機嫌そうに見下ろしていて
なんて言っていいかわかんないよ…
でも1つ思いついたことがあるの!
授業が始まる前に上田くんにメール
[今日テスト前だし部活休み?
できれば放課後相談があるんだけど…]
______________
「どうしたの?」
『あのね…今日 紗羅に聞いちゃったんだけど
その…したって。 ごめん変なこと言って…』
多分真っ赤になってるのが分かる
それが更に恥ずかしい…
「あぁ… だからあの時も…」
納得した様にクスっと笑われる…あの時も ね
『あの…ちょっと聞きたいことあって
答えられる範囲でいいから教えてほしいなって…』
「紗羅じゃなくて俺に? 何?」
急に上田くんが大人びて見えてしまう
照れてるのは私だけだし…
『経験がある人って…好きな人ができたら
したくなるものだよね?』
少し瞬きを繰り返して答えてくれる
「そうだね。対象にはなると思うよ?
即行動を起こすわけじゃないけどね」
『…それって我慢できるものなの?』
真剣な私にきちんと話してくれた
「もし付き合ってたら…男だし
ずっと我慢はつらいと思う。好きなんだし。
でも付き合ってない人なら仕方ないよね
その対象にはできないから…
諦めて他に対象が移ったりするんじゃないかな」
