
大切な人へ
第14章 教えて
付き合ってない__
諦めて他に対象が移る__
上田くんの言葉が頭にこだまする
先生の顔が消えていく気がした
「藍野さん⁉」 その声にはっとした
「ごめん…どうしたの?」
彼は心配そうにハンカチを渡してくれた
私は泣いていたらしい…
『ごめっ…大丈夫…』
声に出すと一気に悲しくなって
わんわん泣いてしまった
『ごめん…付き合わせちゃって…』
落ち着いてきて ずっと横にいてくれた彼に言うと
優しい顔で首をふる…
「誰のこと考えてたの?」
…言えない
言えないって事も言えない
「…井川のこと?」 え?
『どうして 井川くん?』
意外な人の名前にキョトンとしてしまった
そんな私に彼も少し驚いて
「…違うんだ?
他に好きな人 いたんだね」
…やってしまった
一気に血の気が引き何も言えなくなる
「言わなくていいよ
俺も今日のこと誰にも言わないから」
私の様子を察してくれて 少しほっとする…
「藍野さんにあんなこと聞かれたなんて
言えない言えない」
そう言ってクスクス笑う上田くん
も~色んな感情が混ざりすぎて
わけわかんない!
「でもね? 無理しなくていいと思うよ
お互いに好きだったら自然にそうなると思うし」
