
大切な人へ
第17章 雨の終業式
雨は更に酷くなってて
自転車を置いて歩いて帰ることに
井川くんの家は学校からかなり近いらしく
ファミレスまでの道にあるらしい
傘をさして並んで歩いていると
少し前に赤い傘をさして
自分と同じスカートをはいた女の子が立ってた
え?こっち見てる?
というか…睨んでるみたいに見える
井川くんの足がピタリと止まって
見上げると…彼は冷たい表情をしていた
『どうしたの…?』
「悪いちょっとここで待ってて」
彼はそれだけ言って その女の子に近づいて行った
「何やってんの?人ん家の前で」
低い井川くんの声が聞こえる…
「待ってた。メールも返してくれないし」
「っていうかさぁ!!」
急に女の子の声が大きくなって
その子は私を見ながら
「最近べったりじゃない?文化祭の時も
一緒にいたらしいし 藍野さんと付き合ってんの?」
「...付き合ってない」
その子はショートカットで可愛いけど
恐い顔で続けた...
「藍野さんはどう思ってんの?慎也のこと」
急にそんなこと言われても...
「誰とも付き合わないとか言ってさ
キープ?調子に乗ってんじゃないの?」
...この感じ
中学の時と同じだ
嫌なことを思い出しちゃう
