
大切な人へ
第17章 雨の終業式
とりあえず...
ということで井川くんの家に入ることに
井川くんの家は一軒家で玄関も大きかった
家の人は夕方まで帰らないらしい
「これで拭いて!
あと着替えなくて悪いけどこれで我慢して」
そう言ってバスタオルと彼の体操服を渡された
体操服って...
思わず笑ってしまったけど寒いし受け取る
濡れすぎていて中には入れないし
玄関で着替えることにする...
下着まで濡れるけどしかたないか...
『着替えたよー』
すぐ横の部屋に入った彼を呼び
ぶかぶか!ってあえて明るく言ってみる
そしたらやっと
うんって暗い顔をしていた井川くんが笑った
靴下も脱いであがらせてもらい
彼の部屋でドライヤーを借してもらった
少し離れたところで座る彼はやっぱり
暗い表情で... いつもの彼らしくない
『大丈夫だよ?濡れただけだし!
ほら...ね?元通り~』
さらっと髪を振ってみる
「制服...クリーニング出して返すから」
『あ...じゃあお願いしてもいいですか』
うんって言ってまた沈黙...
不覚にも男の子の部屋に入ったのが初めてで
私も少し緊張してしまってるわけで...
