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大切な人へ

第17章 雨の終業式


「相手が美優の気持ち優先してくれたから
今日は何もなかったかもしれない...でもね?

男はそんな奴ばっかりじゃないから...隙あればとか
自制心の弱いやつもいる」

そう聞くと 今日井川くんにキスされてても
おかしくなかったかもしれない...


「井川にかぎらず男の家に入ったり
近づきすぎるのは隙だと思われたりするんだよ...
気を付けてほしい...お願いだから」

私は隙だらけだったかもしれない...


これだけ詳しく言われてやっとわかった

泣いてる時に抱きしめてくれたこと以外で
私に触れなかったのは 彼の気持ちだったのだと



上を見ると心配そうな...悲しそうな瞳の先生

『ごめんなさい...もっと気を付ける
心配させてごめんね?ありがとう...』

つい最近あんなことがあったのに...

あんなに心配してくれた先生に

またこんな顔させてしまった



うんって言ってやっと笑ってくれた
横にごろんってなって抱きしめてくれる

「でも、元カノに美優がそんなことされて
家に連れ込んで襲うとか...
井川がそんな最低野郎だとは思ってないけどな」

少し明るくなった口調で話し出す

「俺がもし、美優の知らないところで
他の女の人の部屋に行ってたらどう思う?」

え...?
また心がざわつく...

『やだよ...』 「どうして?」

『何かあったらいやだし...
仲良くなって...その人を好きになっちゃったら...』

自分で言いながら涙がたまる

「もしだってば 笑
でも心配になるでしょ?」 うん...

「俺は男だから襲われても防げるけど
女の子は好きな男の部屋以外入っちゃだめ!」

......それってちょっと違うよ

ちゅっ!

さっと先生にキスをした

『キスくらいされちゃうかもしれないよ?
先生だって気を付けて!!』


少し丸くなった目元がアーチを描いていく

「ここ以外はいかないよ」



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