
大切な人へ
第20章 想い合う
ー先生sideー
彼女の泣き声が頭から離れない...
今も泣いてる気がして仕方ない
胸が痛い...
あんなに幸せにしたいって思っていたのに
連絡がないまま時間がすぎていく
会いたい...
でもどんな顔して会えばいい?
なんて言えば許してくれる?
美優...
一緒にいるときはもうそう呼んでいる
始めはあの一件で元気付けようとして呼んだけど
そう呼んだ時の彼女の嬉しそうな顔が見たくて
そのままになっていた
どんな形でも2人のことがばれないようにって
言ってくれてたのにね
美優はいつも俺のこと気にしてくれてた
守ろうとしてくれていたのに...
~♪
電話...美優から? 初めての電話に驚いたけど
それを受ける
こんな時でも周りを気遣ってくれる
声が聴きたかったって...
逃げた俺にまだ言ってくれる 情けない
『私が見える?』
その声は震えていた 泣いてる...
美優の部屋が見える窓に近づくと
彼女の部屋の前にうずくまって美優がいた...
俺は鍵だけ握って走っていた
エレベーターを待たず真っ先に階段を下りる
電話を耳にあてているがほとんど聞こえない
ただ一言だけは確かに聞こえた
『会いたい』
俺は走りながら自分を責めた
俺も彼女を守りたい
今流している涙だけでも止めたい
今彼女が求めているのは俺なんだから
自分は傷ついたって構わない___
「美優!!」
愛してる...
冷えた彼女を抱きしめた
