大切な人へ
第5章 終業式
ホールで式が終わったらHRで今日は終わり
教室で大量の課題が
ブーイングの中配られ続けている
一応地元ではそれなりの進学校
2年から徐々に受験モードになってきていて
夏の課題は去年より遥かに多かった
「マジか…」
今は斜め後ろの席の井川くん
少年の様な顔でそれを見つめる彼に
『野球忙しいのに大変だね』
そう言って笑ってしまう
普段の彼は多分かっこいいと言われる顔立ち
スポーツはなんでもできるし成績も悪くない
でも今の彼はそれが台無しだ 笑
「笑い事じゃねぇし‼」
あっ拗ねた
HRも終わっていよいよ夏休み!
教室がわぁっと賑やかになった
4人でご飯でも行こうかと話ながら
教室に残っていると…
「藍野さん…ごめんちょっといい?」
廊下から男の子が私を呼んでいる…
名前は知らないけど見たことはある。
目があった瞬間 心がざわざわと音をたてだす
3人の方に向き直ると いいよとみんなが言う
『みんなでご飯行ってきてね?ごめん!』
私は明るく言おうとしたけど
うまく笑えてなかった気がした。