
大切な人へ
第29章 何があったの?
「喧嘩しないの 笑
でも藍野さん?井川の言ってること本当だよ?
そう見えちゃうから。口で言ってくれたらわかるし」
優しく諭すように言われて納得した...
『ごめんなさい...』
井川くんもこんな風に言ってくれたらいいのにな
「2人って...なんかあった?」
上田くんの言葉にドキッとする
「別に?」 平気な顔の井川くん
『何も...』 私もそうできてますか?
俯いて席に座った
「ふーん...? 笑」
昼休みにクラス委員の私たちが呼ばれて
資料室への雑用を頼まれた
井川くんとだったら絶対ブツブツ言っただろうけど
上田くんは行こうかって自分から言ってくれる
上田くんってやっぱり優しくて紳士だな~
頼まれた資料は高い棚の上で三脚を持ってきた
『持っててくれる?』
「え?俺するよ」
大丈夫って三脚に登って手を伸ばした
でも予想以上に重くててこずる...
下でふふって笑って代わってって言われた...
上田くんは一段だけ登ってあっさり取ってくれた
さすが男の子ですね
『ありが...』
言いかけて彼がすっと耳もとに顔を近付けて小声で_
「やっぱり藍野さん隙だらけ...
下着とキスマーク見えちゃった。ごめんね?」
びっくりして今更お腹を隠す
手を挙げたときシャツの裾が上がってしまったらしい...
