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大切な人へ

第5章 終業式


「話したこともなかったけど
いつも見かけるときは笑顔で…
体育祭でも色々頑張ってて…

可愛いなってずっと見てた」

彼は少し照れながら話してくれた



「好きなんだ…付き合ってほしい」

ズキン…

真っ直ぐな彼の瞳に私が映ってる…
思わず目を伏せて 閉じた手に力を込め口を開く



『_______ありがと…でも…ごめんなさい』


2人の沈黙が苦しい…苦しい…


「うん…わかった」

うつむく私の肩をポンっとたたき
明るい声に少し顔上げた

______


無理したように笑う彼の瞳は少し揺れていた



ズキン……ズキン……



_______ポタッ


揺れる瞳から先に雫を溢したのは
また私だった……



「…藍野さん?どしたの…」

『ごめん!ごめんねっ…』


そう言って私は彼を置いてその場を離れた

着いたのはまたあの女子トイレ…

何も成長できない自分にまた涙が溢れる



私はそこでわんわん泣いた。

誰か来たってもういい…

苦しさと悲しさでどうしようもなかった



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