
大切な人へ
第5章 終業式
何が起こっているのかよくわからない…
彼の香水の香りがする
大きな胸にギュッと背中に腕をまわされて
決して小さくない私がすっぽり収まっている
段々正気に戻って恥ずかしくなってきた…
少し彼の体を押すと力を緩めてくれる
「ごめん…落ち着いた?」
彼の言葉に気付いた
私…泣き止んでる
うんと頷く
でもまた彼は少年の顔になっていて
そのしょんぼり顔に吹き出してしまった
「泣いてり笑ったり なんなんだよ!」
『ごめん…ちょっと可愛いなって思って』
「はぁ?誰に言ってんの?」
少し照れてそう言って
自分のカバンを持って出ていこうとする
「悪かった…
もうからかわないから。誰にも言わないし」
それだけ言って廊下を走っていってしまった
…多分、彼は私を待っていてくれた。
もしかして、始めから慰めるつもりで?
もしそうだとしたら、彼はあまりにも…
『口悪すぎだよ 笑』
