
大切な人へ
第38章 音楽に溢れた文化祭
うちのクラスの出し物は
私をアピールするためにって紗羅が言ってくれて
[生演奏が聞ける喫茶店] になった
美咲ちゃんのキーボードを借りて私が演奏する
楽譜は彼女や音楽の先生が貸してくれた
人前で演奏するの久しぶり...
放課後の音楽室を借りて1人で練習した
大きなグランドピアノの音が
体に染み込んでくるみたいなこの感覚...
気持ちいいな
練習している曲は昔よく弾いたものばかりで
指が勝手に演奏してくれるようだった__
「...やっぱり上手ですね」
曲が終わり 声をかけたのは美咲ちゃんだった
バンドが準備できたら迎えにくるって言ってくれてた
『スローテンポの曲は弾けるもんだね』
もう2年以上弾いてなかったから
アップテンポのものは手が吊りそうになる
美咲ちゃんも当日聞きに来てくれるって言うし
頑張って練習しよ!
衣装も決まりバンドとピアノの練習をしたり
バイトに行ったりでずっとバタバタしてた
井川くんがバイト終わりに待っててくれるのは
申し訳なかったけど...すごく嬉しかったの
家までの短い距離だけど2人で話せる貴重な時間だから
彼の声や笑顔を見るとほっとするし
元気がもらえるから...
彼にも心配だけじゃなくって
そう思ってもらえてたらいいな
