
大切な人へ
第5章 終業式
「何か悩んでるんでしょ?俺じゃ聞けない?」
さっきまで笑っていた延長の優しい顔
でも段々真剣なものになっていって…
「こんな時間まで…1人で。
ずっと泣いてたんでしょ?
帰ってもまた泣くんじゃないかって心配です」
『先生はね?…たとえば…』
『好きじゃない人から告白されたら 嬉しい?』
彼は少し驚いた目をしていたが 答えてくれる…
「嬉しいかどうかで言えば…嬉しいと思う」
『好きじゃないから付き合えないのに?』
「うん…これからも好きになれないって
思ったら断るしかないな」
『でも断ったら相手は悲しいでしょ?
だからって…付き合っても気持ちがないんだから同じ。どっちにしたって傷つける…もぅあんな顔させたくないの…傷つけたくない』
気がついたら自分の話をしていた
全部話してた…
「藍野さんは優しいんだな…」
そう言った先生は優しく微笑んでいた
