
大切な人へ
第57章 2人きりのXmas -晄人sideー
24日の夜 俺は彼女を塾まで迎えに行った
直接迎えに行ったのは初めてで
建物の周りには生徒らしい若い子がたくさんいる
彼女はまだ出てきていなくて路肩に車をとめて
念のため着いたよとメールしておく
しばらくして裏から出てきた彼女は
笑顔で周りに挨拶をしていた
生徒たちの方から彼女に話しかける様子から
慕われているのがよくわかる
『ごめんなさい!おまたせしました』
「待ってないよ お疲れさま」
格別の笑顔をむけてくれる彼女が嬉しくて
ついいつもそれに見とれてしまうんだ
「塾の時ってそんな感じの格好してるんだ?」
『そうですね
スーツの先生も多いんでなるべく正装にしてます』
彼女は俺の前ではスカートがほとんどだけど
今はパンツに七分くらいのシャツにジャケットだ
綺麗に着ているけどスタイルの良さが
際立っているように見えて少し複雑だ
「そういうの着てると大学生にあんまり見えないね
バリバリ働いてそう 笑」
『本当ですか?その方が嬉しいです!』
助手席でにこにこしてそう言った彼女は
高校の頃から落ち着いた服を着ていた
理由は俺の横に似合う女性になりたいから...
美優は本当にずっと変わらないね
俺の為にしてくれる事が多すぎて
嬉しいけど時々戸惑ってしまうんだ
どうして俺なんかにこんなにしてくれるんだろうって
周りから見たって俺に美優はもったいない
姉夫婦にもそう言われてるしね
