
大切な人へ
第62章 知っていく
私たちはそのままもう1つのお墓に向かった
晄人さんのご両親のお墓だ
これもお姉さんから聞くまで知らなかったの
晄人さんが大学生の時に2人一緒に事故で亡くなった
彼は21歳で喪主を務めたそうだ
だからいつも年始も夏も実家に帰らなかったんだね
もしかしてあの年末年始の集まりって...
晄人さんが1人で寂しくないように___?
どうして言ってくれないの?って思うけど少しわかる
簡単に口に出来ないくらい大きなことなんだ
私も直接彼には言ってなかったし
両親を失い お姉さんはもう結婚していたから
実家を手放しずっと1人暮らしだったそうだ
同じように母と離れて暮らす私に同情したの...?
「それはないよ。むしろ尊敬したんだ
電話でお母さんから家を出た理由を聞いた
私の事を考えて出ていったんだと思うって言ってた
俺は1人になった時...寂しかった
姉に頼るわけにもいかないし、仕方なくだった」
「でも美優はそれを自分で選んだ。たった15歳で。
純粋にすごいなって思った...
でもかなりの泣き虫だったけどね 笑」
彼はお墓の前で手を合わせながら話してた
ご両親に話してるみたいだった...
