
大切な人へ
第64章 告白
「それなら実家に帰ってらっしゃい♪」
母に言ったらそう返ってきた__
今更一緒に住むの!?って思ったら違った
「しばらく海外で隆之さんと暮らすことにするの
だからもったいないし晄人さんと住んで?」
確かに最近の母は海外での仕事が多かった
いつの間にかピアノ教室も辞めていて
プロ復帰をしていたんだ
『どうします?車ももらっちゃった』
「こんな大きい家...いいのかな?」
家主が不在の実家の様子を見に行ってみた
家電も新しくていいものばかり
広すぎるリビングにはグランドピアノ付き
4LDKで防音完備の庭付き2階建て…
晄人さんはすごいってため息連発だった
「ずっとここに住んでたの?綺麗だね」
『そうなんですけど私が高校の時に
リフォームしたらしいです』
外装も中も綺麗だった
私たちにはもったいないけど
ありがたく春から住むことにしました
晄人さんは順調に面接を進んで行って
論文もかなり頑張って仕上げてました
でも難しいと思うって晄人さんは言ってた
結果は...
まず1年は契約社員としてだけど
採用が決まりました
私はこっそり聞いてみたの...
井川くんとお父さんが何か働きかけて
くれたんじゃないかって思ったから
「美優さんが尊敬してると言っていたのは
鈴木君のことだったんでしょう?
慎也からそれは聞いてましたから。でも...
彼はアルバイト時代から真面目で優秀だったから」
私はなにもしてないよって言ってくれた
多分うそな気がする...
でもお礼だけ言った
