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大切な人へ

第10章 4人で花火


座れる場所を見つけて
とりあえずそこで2人からの
連絡を待つことにした


井川くんはカステラを1つ食べて
あまっと言ってあとは全部くれた

『もらってばっかりで悪いってば』

そう言うと彼の表情が変わって小声で


「終業式のおわび」

『...え?』


「お前が教室に帰って来た時
泣いてたんだってすぐわかったのに...

ふざけてまた泣かせて...ごめん」

彼は正面を見たまま少し視線をさげていた


『井川くん待っててくれたんだよね?
心配してくれてありがとう

あれくらいで泣いたりして
びっくりしたでしょ?ごめんね』

「あれくらいじゃないだろ?
呼ばれた時も帰って来た時も
俺と話した時も!ずっと辛そうだった」



私のことを見ててくれたのは
先生だけじゃなかったんだ...

嬉しくて涙が出そうになる



『紗羅たちから連絡来ないね...
どうしたのかな』

話しをそらしてスマホを見る


「それもごめん!
元々こうなる予定だったんだよ」

『...え!?』


「今日上田が渡辺に告白したいって言って
わざとはぐれた。駅から歩いてるときに
そう渡辺に言って俺たちから離れたんだ。

だから心配しなくていい」




『そっか。わかった...
でも井川くんはいいの?』

「なにが?」

『井川くんも紗羅が好きなんでしょ?』

「...‼ ハア⁉ゴホッ!ゴホッ!」


彼は大声をいきなり出してむせた

よしよしと背中をさすってあげる





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