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飴と鞭と甘いワナ

第4章 scene Ⅳ


「大丈夫?」

俺の "不法侵入 " 発言に苦笑しながら、雅紀が中に入ってくる。

「…何が?」
俺、体調悪いとは一言も言ってない。


「何が、じゃないよ。…具合悪いくせに」
雅紀が俺の横にしゃがみこんだ。

同時にドサッとビニール袋も床に下ろされる。

「俺、具合悪いなんか言ってないもん」
…本当は話すのもかなりツラい。

でもそんなのバレたくないから、平気なフリをしてみせる。


「声ですぐ分かるよ、そんなの」
雅紀がふわり、とおでこに手を乗せた。

「ちょっとにの、熱ある!布団行こっ!」
驚いたように、雅紀が手を離す。

そんな触ってすぐに分かるくらい、熱出てたのか。
…そりゃあ、怠いはずだよ


「いい。…動くの無理」
もう、平気なフリは意味ないのを悟った俺は
そのまま目を閉じた。

一気に身体が重くなる。

多分、雅紀に対しての緊張がなくなったから。


「ダメだよ、悪化するって」
雅紀がそうは言うけど
本当にもう動きたくないんだ。




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