
飴と鞭と甘いワナ
第1章 scene Ⅰ
それから…………
現場が変わったり、
遠出だったりで。
久しぶりにあのコンビニに立ち寄ったのはあの日から三週間は優に経ってた。
いつものオニギリとカップ麺。
レジで
〝久しぶりですね〝
なんて言われたのが妙に嬉しくて。
金も無いのに唐揚げ追加したりして。
何浮かれてンだって独りツッコミする歩道の上。
日中とは違う少し熱の冷めた夜風にノンビリと歩く。
明日は久しぶりの休みだから。
公園を迂回して……あの美容院…あ、カットサロンか…の前を通り過ぎる。
ロールスクリーンの下った店内から僅かに光が洩れてるからまだ誰か居ンのかもしれないな……ま、関係ないケド。
チラと思い出した小柄なイケメンの顔をブンブンと頭を振って追っ払う。
たかが〝会釈された〝だけ………社交辞令だ。
何かを期待しようとしてる気持ちに蓋をする。
点滅しだす青信号。
慌てて渡ろうとしたその時……
むんずと腕を掴まれ、引き戻された。
うぉっ!誰だよ!?
?「ちょっとアンタ……」
振り向けば
?「カットモデルやってよ」
は?いきなり何言ってンの?
小っさいクセに超上から目線。
マジマジ見返せば……………
例のイケメン、尻デカいヤツ。
…………第一印象最悪…………
なんて、ドラマの中だけだと思ってた。
