
飴と鞭と甘いワナ
第6章 HurryUp! episode 1
A side
確かに最近は誘いが多かった
番組で共演してる付き合いもあるし、Jr.時代からの親友もいる
たまたま立て続けに誘われてて、ほぼ休みの前の日に出掛けてるのは事実だ
「また、飲みに行くんだ…」
楽屋で、通話を終えた俺の横に
にのが拗ねたように座った
「うん、海外ロケに入る前に飲もうって」
"拗ねんなよ" っておどけてにのの頬を撫でようとした瞬間
パシン!とその手をにのに強く払われた
思いの外、楽屋内に響いた音に
皆が驚いたように振り返る
3人の視線が俺達に集まった
だけどただならぬにのの雰囲気に、誰もが声を出さずに見守っている
「にの…?」
にのの怒りの矛先は俺だ
だから皆、何も言わない
そして当のにのも、最初の一言から何も発しなくて
ただ、俺を睨み付けている
「何だよ…どしたの?」
今までも別行動なんて当たり前だったのに
それににのだって、後輩を家に呼んだりしてんじゃん
なのに、何で俺が責められてるみたくなってる訳?
