
飴と鞭と甘いワナ
第6章 HurryUp! episode 1
とっくにタバコは止めてたけど、何とはなしに覗いた灰皿に、見慣れたタバコが目に入る
その吸い殻は、端から見たら “勿体ない“ と言われてる半分ちょっと残したもの
“最後まで吸うと味が落ちる“
まさに、そう言っていつも笑ってたにのの吸い方で
しかも銘柄も同じときたら
間違いじゃなければさっきまでにのもここにいた事になる
ー…タバコ吸う余裕まで見せんのかよ
何だかちょっとムカついてきた
ちくしょう!
こうなったら、意地でも見つけてやる
いつも俺の事、単純だとか
行動が分かりやすいとか
言いたい放題言ってくれてるけど
俺の野生の勘、舐めんなよ?
特にお前に関しては、自分でも驚くくらい働くんだからな
それだけお前が大事だって、何で分からないんだよ
何処に居たって、誰と居たって
“今度、にのと来たいな“
“今、笑ってるのがにのならいいのに“
そんな事ばかり考えてるってのに
…まあ、今回ばかりは俺も自業自得だけど
やっぱり「お前だって」と思う気持ちも嘘じゃくて
考えれば考える程に堂々巡り
